コラム・調査レポート
2025.06.20
食品
日経POSでみる コメ小売り最前線2023~25(後編)
—『小泉劇場』1カ月、店頭の変化をデータで検証—
—『小泉劇場』1カ月、店頭の変化をデータで検証—

「消費者の不安が払しょくされるということを期待」した政府の対応は、数値上では一定の成果を見せ始めている。日経POSのデータをみてみると、5月5日週に3,591円と直近一年で最高値をつけた全国スーパーの平均価格は、2025年5月26日に随意契約を通じた政府備蓄米の放出方針が発表されたあと、6月9日週には3,489円へと3%下がった。
日経テレコン「新聞トレンド」で関連キーワードの出現数を追うと、価格下落に伴って出現数も減少しており、世間の反応・関心がやや落ち着きをみせていることがうかがえる。
日経テレコン「新聞トレンド」で関連キーワードの出現数を追うと、価格下落に伴って出現数も減少しており、世間の反応・関心がやや落ち着きをみせていることがうかがえる。

■平均価格下落のけん引役は……
2025年6月9日週の全国ランキング上位10商品のうち、最低価格が2,000円台だった商品は4つ。いずれも内容量5kgのブレンド米などだ。備蓄米をはじめ様々なコメを混ぜたブレンド米が価格を押し下げる要因となったことを示す。最高価格との差は200~1,000円程度だが、これは主に地域間の価格差によるものとなっている。
「うるち米」には全国共通の商品は存在せず、対象の4商品もそれぞれエリア限定で販売されている。6月9日週は関東外郭、首都圏、中京、近畿、中国、九州の6エリアそれぞれの地域で平均価格の押し下げに寄与した。
2025年6月9日週の全国ランキング上位10商品のうち、最低価格が2,000円台だった商品は4つ。いずれも内容量5kgのブレンド米などだ。備蓄米をはじめ様々なコメを混ぜたブレンド米が価格を押し下げる要因となったことを示す。最高価格との差は200~1,000円程度だが、これは主に地域間の価格差によるものとなっている。
「うるち米」には全国共通の商品は存在せず、対象の4商品もそれぞれエリア限定で販売されている。6月9日週は関東外郭、首都圏、中京、近畿、中国、九州の6エリアそれぞれの地域で平均価格の押し下げに寄与した。

そのほか地域別の商品ランキングをみると、関東外郭のみ名古屋食糧「ごはんがいちばん 国内産 5Kg 」が平均価格、最低価格ともに2,000円台であった。この商品は四国では平均価格、最低価格ともに3,500円以上となっている。一方で、北海道、東北、北陸については、トップ10で6月9日週に5Kgあたり2,000円台の商品は見当たらなかった。
■米国産米も急増
輸入米が分類される「その他穀類」に目を向けると、2025年4月あたりからカリフォルニア米の売り上げが急拡大しコメ市場の供給不足感解消にひと役買っているようだ。カカシ米穀「米国産カリフォルニアカルローズ」を例にとると、6月9日週の平均価格は 3,565円で、政府による価格安定政策の影響が出始めた現在では、平均的な価格となっている。しかし2025年1月の登場以来、3月24日週までは2,000円台、それ以降も現在に至るまで3,500円前後で推移し、国産米の不足感を影で支えてきた。6月半ばの日次データで見ると千人当たり金額はうるち米全国ランキングの70位相当まで上昇している。
■米国産米も急増
輸入米が分類される「その他穀類」に目を向けると、2025年4月あたりからカリフォルニア米の売り上げが急拡大しコメ市場の供給不足感解消にひと役買っているようだ。カカシ米穀「米国産カリフォルニアカルローズ」を例にとると、6月9日週の平均価格は 3,565円で、政府による価格安定政策の影響が出始めた現在では、平均的な価格となっている。しかし2025年1月の登場以来、3月24日週までは2,000円台、それ以降も現在に至るまで3,500円前後で推移し、国産米の不足感を影で支えてきた。6月半ばの日次データで見ると千人当たり金額はうるち米全国ランキングの70位相当まで上昇している。

■価格・需要の変化に地域差
2025年でもっとも「うるち米」の価格が高かった5月5日週と6月9日週の平均価格を比較すると、騰落率に地域差があることがわかる。
2025年でもっとも「うるち米」の価格が高かった5月5日週と6月9日週の平均価格を比較すると、騰落率に地域差があることがわかる。

大きく下がったのは北陸の11%安、次いで関東外郭の6%安だが、この2地域は前編でも述べたとおり2025年5月に千人当り個数の前年同月比がいずれも大きく増えた地域だ(北陸 :前年比34%増、関東外郭:同26%増)。この2地域では5月5日週以降、上位10位内に新たなブレンド米等や5Kgで3,000円程度の安価なブランド米が加わっている。関東外郭では既存のブレンド米も値下がりしており、たとえばマイパール長野「国内産ブレンド米 5Kg」は2,993円から2,781円へと200円以上の値下がりとなった。同商品は全国的に「うるち米」の平均価格3,000円超が一般化した2025年1月以降も平均価格は断続的にではあるが2,000円台を現在まで保ち続けている。唯一価格が上昇した四国については、5月5日週は3,163円と10エリア中最も低く、1%は誤差の範囲内と考えても差支えないだろう。
需要の増減をみるため5月5日週と6月9日週の千人当り個数を比較すると、中京で24%増、次いで四国が17%増と他の地域より大幅に需要増となっていた。
需要の増減をみるため5月5日週と6月9日週の千人当り個数を比較すると、中京で24%増、次いで四国が17%増と他の地域より大幅に需要増となっていた。

ブレンド米等が平均価格の引き下げに寄与する一方、ブランド米の高止まりが続き、平均価格の大幅低下を妨げている可能性もある。しかし全国ランキングで上位に入ったブレンド米等の2商品と、ブランド米2商品の平均価格を見る限り、大きく下がるブランド米もあり、ブレンド米だけが価格下落をけん引しているわけではなさそうだ。

2025年上半期の米市場は、価格高騰とそれに対する政府の対応、そして消費者行動の変化が複雑に絡み合った。ブレンド米の選択肢やネット販売やコンビニエンスストアなど、販路の多様化によって価格の引き下げが進みつつある一方で、地域ごとに異なる背景や受け止め方も見えてくる。これらの変化が、消費者の不安を和らげ行動変容をもたらしていくか、今後も注視していきたい。
※データは日経POSの2025年6月18日時点を使用
※データは日経POSの2025年6月18日時点を使用
